13.資産配分(相関係数)

資産配分を決めると「リスク」と「リターン」が決まる、というお話をしました。

先ほどのmyindex.jpさんのツールを使った例だと、「国内株式25%・先進国株式25%・国内債券25%・先進国債券25%」というポートフォリオは、リスク9.9%でリターン4.0%というやつですね。

ところが、他のツールを使うと同じ「国内株式25%・先進国株式25%・国内債券25%・先進国債券25%」をインプットしても、必ずしも同じ計算結果(アウトプット)とは限りません。

なぜでしょうか。

リスクとリターンを算出するために必要なパラメータ

実は、同じ計算方法を使っていても、計算の基礎となるパラメータに何を使うかで、計算結果が異なってきます。

みなさん、たとえば下記のような表を見たことはないでしょうか。

ここにある「期待リターン」「リスク(σ)」「相関係数」が、その基礎となるパラメータです。

「期待リターン」と「リスク(σ)」はすでにご説明をしました。

少し分かりにくいのは「相関係数」でしょうか。

相関係数

さて、以前の記事で、資産配分(アセットアロケーション)では「資産間の相関関係」も大事だと述べました。

非常に単純ですが、株式の相関についてこんな話を聞いた記憶があって、相関関係とは何かをイメージしやすい話だと思うのでウロ覚えですが書き留めておきます。

1990年頃までカメラといえばアナログ写真で銀塩フィルムを使っており、フィルムメーカーの製造コストの大半は銀であった。
なので、フィルムメーカーの株式と銀採掘企業の株式の両方を買えば、銀の価格が下がればフィルムメーカーが儲けるし、逆に上がれば銀採掘企業が儲かるので、リスクを相殺できる。

この2社は、銀の価格に対して、逆に動く関係にあるということですね(負の相関関係)。

こういった関係をもう少し厳密に定義したものが「相関係数」です。

2つのモノが完全に同じ動きをすれば相関係数は「1」となり、完全に独立に動けば相関係数は「0」で、完全に逆の動きをすれば相関係数は「-1」です。

たとえば、上記の表を見ると、国内債券と国内株式の相関係数は「-0.261」で、つまり、逆の動きをしていることになります。

これは、日常生活を考えても理解しやすいのではないでしょうか。

超低金利だと銀行に預金しても債券を買ってもリターンが低いので、消去法として投資信託を買おうとし、その結果、需要が増えて株価は高くなるので、株式のリターンは大きくなる、と考えることができます。
つまり、金利に対して、債券と株式は逆に動く関係にあるということです(もちろん他の要因によってもリターンは変動するので、それらを総合すると相関係数は「-0.261」ということですね)。

過去の実績値をどれだけ信用するか

さて、この3つの基礎的なパラメータですが、よく見かけるのは、たとえば「過去20年の実績データから算出した数値」を使うケースです。

もちろん、実績値を使うのはもっとも説得力があり、無難な選択だと思います。

これに関して、山崎元さんの『年金運用の実際知識』(スミマセン、まだ読んでいません)に下記の記載があるようです(カン・チュンドさんのブログから孫引き)。

過去のデータを用いることについては、W.Sharpeがうまくまとめた表現が印象に残っています。
彼は、アセットアロケーションを行う場合に過去のデータ(histric data)は、標準偏差に関しては「非常に有用」(quite useful)で、相関係数に関しては「そこそこに有用」(reasonably useful)だが、期待リターンに関しては「ほとんど役に立たない」(virtually useless)

なるほど。

各アセットクラスのリスク(標準偏差)について「非常に有効」というのは、今も昔も人間の心理は変わらないというか、株や不動産や債券が持っている本質的な「振れ幅」(リスク)は構造的なものであるというか、いずれにしても歴史は繰り返されるということなんでしょうか。

肌感覚ではよく分かります。

逆に、期待リターンについて過去のデータは「ほとんど役に立たない」というのは衝撃的ですけど、実際のところ「ですよね」という気もしないではありません。

トマ・ピケティさんが明らかにしたように200年以上という長いスパンを前提として考えれば年5%ぐらいのリターンを期待してもいいとは思うのですが、10年とか15年ぐらいのスパンであれば、たとえば資産運用のプロであるJPモルガンさんが公表している期待リターン長期予想で2016年版、2017年版および2018年版を比べてみると、リスク(ボラティリティ)と相関係数の安定具合に比べて期待リターンは1年で大きく増減しているように見えます。

プロでさえ(むしろプロであるがゆえ?)状況が変わるとリターンの予想は大きく変えざるを得ないということでしょうか。

期待リターン・リスク・相関係数を決める

そういうわけで、リスクと相関係数については色々と出回っている情報を参考にして、それなりに忠実に自分なりの値を決めました。

期待リターンについては、たとえば上記のJPモルガンさんを参考にしたり、自分の投資経験を思い出したり、自分で鉛筆を舐めながら「まーこんなものかな」と納得しながら決めたのが、上記の表になります。

多少ヘンな点があるかもしれませんが、たとえば旅行を前にして旅程表を作る感じで、それはそれで楽しめました。

ま、運用するのは自分のお金だし、小っちゃいことは気にせずにいきましょう。

続きます