長期米国国債ETF(TLT)と米国株式(S&P500)の相関係数

経緯

2018年04月に最初の自作ポートフォリオを作成しました。

アセットクラス毎の「期待リターン」「リスク(σ)」およびそれぞれの間の「相関係数」を自分で好きに決めたので、山崎元さんのサイトと「kazuの金融ブログ」さんのサイトを参考にして、ポートフォリオで合成される「期待リターン」と「リスク(σ)...

このときは「先進国債券」という資産クラスだったのですが、レイ・ダリオ氏の個人投資家向け推奨ポートフォリオ(オールシーズンズ戦略)に影響を受けて「長期米国国債」に興味を持ちました。

最近話題となったレイ・ダリオ氏の個人投資家向け推奨ポートフォリオ(オールシーズンズ戦略)の内訳は、 米国株式:30% 中期米国国債:15% 長期米国国債:40% 金:7.5% コモディティ:7.5% となっ...

そこで、長期米国国債と先進国株式との相関係数を知りたくてネットを調べましたが、色々な数字があって決定打には出会うことができませんでした。

「米国国債」と「米国の債券」を混同しているのは論外としても、プロの証券会社などが出している相関係数もプラスであったりマイナスであったり

なので、自分で納得できるように生データから分析をしてみたので、備忘録として残しておきます。

ちなみに、最終的に長期米国国債と先進国株式(主にS&P500)の相関係数を「-0.4」として自作ポートフォリオ(2018年08月版)を作成しています。

前々回は、MS-Excelを使ってポートフォリオのリスクとリターンを計算するスプレッドシートを作りました。 そして前回、そのスプレッドシートを使って株式投資の効率的フロンティア曲線を作成してみました。 で、今回は総仕上げとし...

長期米国国債ETFと米国株式の相関係数

レイ・ダリオ氏が言う長期米国国債はデュレーションが20年から25年までの米国国債で、具体的な商品としては米国ETFの「TLT」が該当します(実際には管理費の低い「VGLT」を購入)。

  • TLT(iShares 20+ Year Treasury Bond ETF)

また、「先進国株式」と言いながら、実際には自分としては米国株式を念頭に置いているので、S&P500を資産クラスとして相関係数を求めたいと思います(実際には「SPY」を購入していませんが)。

  • SPY(SPDR S&P 500 ETF)

この2つの2002年08月からの月次データを米国Yahoo!FinanceからCSVファイルでダウンロードして分析しました。

データが正しいことの目視

まず、元のデータが正しいことを確認してみます。

月次のCSVファイルから作成したグラフ(下図上)を米国Yahoo!Financeのグラフ(下図下)と比べてみました。

ほぼ同じなので、元の月次データは正しいということで話を進めますね。

相関係数

続いて、2002年08月から2018年08月までのTLT(長期米国国債)とSPY(S&P500)の相関係数を求めてみます。

これはExcelの「correl」関数で一発表示ですね。

  • 相関係数:0.72

はて?

これ、ダメな感じですね。

んー、確かに目を細めてグラフを見ると両方とも右肩上がりですし。

でも、そんなことを言い出すと、世の中の資産はたいてい右肩上がりだから相関係数はマイナスにならないような気も…。

期間を区切ってみる

そう言えば、証券会社などが出してる相関係数の表は「過去3年」とか「過去5年」とか比較的短いものが多いですよね。

そこで、直近1年(12ヶ月)を対象期間として相関係数を算出してみました。グラフにすると下図のとおりです。

たとえば、グラフの始点は「2003年07月」で相関係数は「-0.09」です。これは、2002年08月から2003年07月までの12ヶ月を対象にして相関係数を求めたものです(データのペアは12個)。

そして、グラフの終点は「2018年08月」で相関係数は「-0.51」です。これは、2017年09月から2018年08月までの12ヶ月が対象となります(同上)。

これを見ると、相関係数がプラスに振れたりマイナスに振れたり、動きが激しいことが分かります。

過去1年だけでなく「過去3年」「過去5年」「過去10年」の相関係数を求めて同じグラフ上に図示すると下図のとおりです。

期間が長ければグラフが滑らかになるのは「移動平均」などと同じで当然ですよね。

これらを見てざくっと言えば、2008年後半のリーマンショック時には明らかに相関係数がマイナスです。

直近1年(赤い●)と直近5年(青い●)を見る限り、リーマンショック時以外はプラスとマイナスを行ったり来たりという感じでしょうか。

ちなみに、「直近1年」「直近5年」に「直近6ヵ月」を加えると下図のようになります。

直近6ヵ月だと、さらに動きが激しいですよね(これも当然ですが)。

株価ではないので、動きが激しくても気にしない

ただし、株価の値動きではなく相関係数の動きなので、別に荒い動きでもそれほど気になりませんよね(これが株価なら「リスク」が大きいということで要注意ですが)。

むしろ、相関係数がプラスで高止まりしていないという事実が重要でしょう。

相関係数がマイナスであれば、株式ポートフォリオの中に長期米国国債のETFを組み込んだときのリスク軽減効果が大きいということですから。

結局は自分で決めるしかない

こんな計算が意味があるのか不明ですが、とりあえず「直近1年」の相関係数の平均値を出すと「-0.20」になりました(2002年08月から2018年08月までのデータ)。

ちなみに、自分自身のポートフォリオを算出する際の相関係数は、「直近3年」の最も新しい相関係数を採用して「-0.4」にしています。この辺は善し悪しの問題ではなく、決めの問題かと。

  

ただし、株式と長期米国国債との相関係数がプラスかマイナスかの違いは、ポートフォリオの結果に大きく影響するので、その点は注意しましょう。

仮に、長期米国国債と他の資産クラスとの相関係数をすべてゼロにした場合、効率的フロンティア曲線上における資産クラスの構成比率は下図のようになります。

先に見た相関係数で計算した効率的フロンティア曲線上における資産クラスの構成比率は下図でしたよね。

前々回は、MS-Excelを使ってポートフォリオのリスクとリターンを計算するスプレッドシートを作りました。 そして前回、そのスプレッドシートを使って株式投資の効率的フロンティア曲線を作成してみました。 で、今回は総仕上げとし...

比べてみると、先進国株式の比率が大幅に低下していますね。

これは、先進国株式と長期米国国債との相関係数がマイナスであれば、先進国株式を多く組み込むことにリスク低減効果があったのですが、それがゼロだとすれば、先進国株式よりも同じリスクで同じリターンの国内REITの方が(他の資産クラスとの相関係数を考慮すると)数学的には優れているということでしょうか。

ポートフォリオを作成するとき、もちろん資産クラスのリスクやリターンは重要ですが、相関係数もまた重要ですね。

むしろ怖いぐらいです。

少しの違いでポートフォリオの構成に大きな影響を与えるので。

なので、この記事は特に(いつも以上に)自己責任でお願いします。