NTTドコモのTOBメモ(TOB対象銘柄の対処法)

2020年09月28日(月)の深夜に日本経済新聞がNTTによるNTTドコモ<9437.T>の株式公開買付(TOB)を報道し、翌日からストップ高となりました。

09月28日のNTTドコモの終値は2,774円で、TOB価格は3,900円。プレミアムは40.59%になります。

自分は平均取得価額2,719円で200株を所有しており、本日(2020年10月15日)の株価は高値3,881円/安値3,879円なので、平均3,880円だとすれは232,200円の含み益となります(ありがとうございます)。

所有している銘柄がTOB対象となったことは今までにおそらく十回程度はあると思うのですが、記録を残してなかったので、今回からちゃんとメモをしておこうと考える次第です。

TOB対象銘柄の対処法

ところで、自分が持っている銘柄がTOB対象になった場合、下記の3つの対応が考えられます。

(1)市場でそのまま売却

これは自分が使っている証券会社でNTTドコモを売却するということですね。

たとえば今日のケースだと3,880円で指値をするとか。

(2)公開買付に応募

これは公開買付代理人(今回のケースだと三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に特定口座を開設して自分の証券会社からNTTドコモ株を移管出庫し、「公開買付応募申込書」を公開買付代理人に提出することで完了します。

そうすれば満額の3,900円で買い取ってもらえます。

(3)そのまま保有して金銭交付

これは自分は「何もしないで放っておく」ということですね。

そうすると、大株主であるNTTが少数株主の株式を強制的に買い取ってNTTドコモを100%子会社にしようとするので、そのときに勝手にお金をくれる(金銭交付)という訳です。

金額としてはおそらく満額の3,900円になると思います(以前は旧カネボウのように少数株主と価格が折り合わずに裁判となったこともありましたが、2015年05月の会社法の一部改正により法整備が進んで揉めることが少なくなったようです)。

NTTとしては、少数株主がいると株主総会の招集通知や配当金など細かな点で面倒くさいから完全子会社に…、ということなんでしょうね。

各対処法のメリットとデメリット

では、それぞれのデメリットを見てみましょう(メリットは裏返しになります)。

(1)市場でそのまま売却

  • 株価が少し安くなる(TOB価格3,900円を3,880円で売却すると200株で4,000円の損失)。
  • 売却手数料が発生する(コースによっては無料になることも)。
  • TOB合戦が発生してTOB価格が上昇した場合、儲け損なう(今回は可能性ほぼゼロ)。

(2)公開買付に応募

  • 応募する手続きが面倒くさい。
  • TOB不成立の場合、価格が元に戻って儲け損なう(今回は可能性ほぼゼロ)。
  • 損益通算するには確定申告が必要(TOB以外に公開買付代理人の口座を使わない場合)。

(3)金銭交付

  • 確定申告が面倒くさい(※1)。
  • 税金面で不利になる可能性がある(※1)。
  • TOB不成立の場合、価格が元に戻って儲け損なう(今回は可能性ほぼゼロ)。
  • 金銭交付されるまで運用資金として使えない(機会損失)。

※1

Q.公開買付(TOB)に参加した場合、確定申告はどのようにするのですか?また、参加しないで金銭交付が行われた場合は?

A.お客様が公開買付(TOB)に参加し公開買付代理人である金融商品取引業者(証券会社)を通じて上場株式を公開買付者に譲渡した場合の譲渡益は、原則確定申告が必要となります。
また、公開買付(TOB)は、特定口座の保管株式を手続きされた場合、特定口座の適用を受けることも可能です。

実際の確定申告の方法や特定口座が適用されるかにつきましては、公開買付(TOB)の手続きをされた証券会社にお問合せください。

なお、上場廃止後、金銭交付が行われた場合、上場廃止銘柄が上場株式または未上場株式のどちらとして取り扱われるか、またどのような経緯で金銭交付が行われたのか等により確定申告の内容が変わります
そのため、金銭交付の際の確定申告につきましては、所轄の税務署にご確認いただきますようお願いいたします。

(マネックス証券)

市場でそのまま売却することのメリット

自分の場合、今までのTOB銘柄の対処はすべて「(1)市場でそのまま売却」でした。

主な理由は簡単で、

  • 公開買付に応募するのは面倒くさいから。

なのですが、実は、

  • 株式の確定申告をしたくない。

という理由もあります。

これについて少し説明します。

まず、公開買付に応募するためには三菱モルスタ証券で特定口座を作り、NTTドコモ株を移管してTOBに応募することにより、売却益(今回は236,200円)が発生します。

そうすると、売却益の20.315%(47,984円)が課税されることになります。

もし他の証券会社(仮にSBI証券としましょう)の特定口座に売却損があれば、株式の確定申告をして三菱モルスタ口座とSBI口座の間で損益通算をすることにより税金を圧縮することが可能です。

仮にSBI口座の十分な売却損があれば損益通算によって47,984円の節税が可能なので問題ありません。

しかし、ある特定の条件下では、株式の確定申告をすることによって損をするケースがあります。

源泉徴収を選択した特定口座内の上場株式等の譲渡所得等や、住民税が源泉徴収されている上場株式等の配当所得等は、確定申告をする必要がないこととされています(申告不要制度)。

確定申告をしない(申告不要制度を選択する)場合、これらの所得は、国民健康保険料(以下、保険料)の算定対象となる所得には含まれません。
しかし、繰越損失や損益通算、各種控除等の適用を受けるため等の理由で確定申告をした(総合課税・申告分離課税を選択した)場合は、これらの所得についても、給与や公的年金などの他の所得とともに、保険料の算定対象に含まれることになります。

(藤沢市 福祉健康部 保険年金課)

つまり、個人事業主などの場合、複数口座を損益通算するために確定申告をすると、損益通算前の利益が所得に加算されて国民健康保険料などの負担が増えてしまう可能性がある、ということです。

なので、個人的には、以前から、株式の損益通算のための確定申告を避けるように各口座で利益と損失の調整をしています。

そのため、今回のケースでいうと「TOB応募のために三菱モルスタ証券で特定口座を作って売却益を発生させたくない」という次第です。

なお、

地方税法の改正により、住民税の税額決定通知書・納税通知書が送達される日までに、確定申告書の提出とは別に、市民税・県民税申告書を提出することで、住民税の課税方法(申告不要制度、総合課税、申告分離課税)を選択できるようになりました。
この市民税・県民税申告書の提出により、例として「所得税は申告分離課税、住民税は申告不要制度を選択する」等、所得税と住民税とで異なる課税方法を選択することができます。

(藤沢市 福祉健康部 保険年金課)

ということなので、株式の確定申告をしても、住民税の申告不要制度を選択することにより、少なくとも国民健康保険料の負担増は避けられるかもしれません(当方は税制についての知識がないので間違っていたらスミマセン。税理士先生にご相談することをお勧めします)。