過去のTOB銘柄(個人的メモ)

個人的な備忘録として過去に自分が保有していたTOB銘柄のことを記しておきます。

古いものは手もとに資料がないので特に記憶に残っているTOB銘柄のみになります。ウロ覚えの部分も多いのでご容赦ください。

シートゥーネットワーク(7588)/2003年06月

シートゥーネットワークは、スーパーマーケット「つるかめ」などを運営していた会社で、当時住んでいた近所に店舗があったので親近感を持っていました。

2003年06月10日、英国食品小売のテスコが1株3,400円でTOBを発表。過去3か月間の平均株価に対して約35%のプレミアムが乗っていました。

個人的には「保有している銘柄の中で初のTOB銘柄」となったのでよく覚えています。確か100株で10万円程度の利益だったかと。

ミドリ薬品(2718)/2009年11月

2009年11月13日、引け後にマツモトキヨシがミドリ薬品に対して1株80,000円でのTOBを発表しました。

最初は「お?確かミドリ薬品を持ってたなぁ。ラッキー」とぬか喜びをしたのですが、当日の終値を確認して驚きました。

  • ミドリ薬品:108,500円

「ん?もしかして26%のマイナス?…」

ええ、株価にプレミアムがついているどころか、逆に▲26%のディスカウント価格でのTOBでした。

個人的には「保有している銘柄の中で初のディスカウントTOB銘柄」となったので記憶に残っています。

どうして「ディスカウントTOB」というものが存在するかというと、たとえば、同じ財閥系に属するA社とB社が事業再編をする目的で、B社が保有する上場企業のC社株をA社に移したいとします(たとえばC社の事業はA社の事業とシナジー効果が高いケースとか)。このとき、A社がC社に対してディスカウントTOBをおこない、B社がこれに応じることで、B社が保有するC社株がスムーズにA社に移ることになります。

A社にとっての利点は、早く安く想定どおりの株数を購入できる、ということでしょう。

このTOBはディスカウント価格なのでB社以外の一般投資家は応募せず、したがってA社はB社が保有している株式数のみを購入できます。

まぁ、言ってみれば出来レースですよね。はっきり言って、一般投資家としては迷惑です。

実際、ディスカウントTOBの対象となったミドリ薬品は翌営業日は大幅安でした。

日本ではTOBの価格設定に制限はないが、英国では割安価格は禁止されているほか、米国でも合理性の観点などから難しい。TOBに詳しい清原健弁護士は、「本来、市場価格で売買できない取引は、合理的・効率的な市場の形成につながらない」と指摘。そのうえで「代替手法も検討したうえで最終的にディスカウントTOBを選んだ、という合理性を証明できるかが重要だ」と語る。

(日本経済新聞 2018年03月14日)

ということらしいです。

なるほど。

もっとも、マツモトキヨシはミドリ薬品の完全子会社化を目指して50:1の株式交換を同時に発表しているので、マツモトキヨシの前日終値2,050円から計算すると、

  • 2,050円×50円=102,500円(マツキヨと株式交換した価値)
  • 102,500円÷108,500円=1-0.9447=▲5.53%(株式交換でのディスカウント率)

なので、つまり、ディスカウント率は▲26%ではなく(マツキヨとの株式交換まで我慢して持っていれば)▲5.53%で済むということになります。

いずれにしても一般投資家にとってはあまり楽しい話ではありませんが。

このケースでは、確か、自分は売却せずにマツキヨ株と交換してもらったと記憶しています。

パシフィックゴルフ(2466)/2011年10月

2011年10月27日にパチンコメーカーである平和が株式交換(PGM1株に対して平和0.54株)でのTOBを発表し、その後、2015年07月29日に上場廃止して平和の完全子会社となりました(チャートはYahoo!ファイナンスから。以下同様)。

パシフィックゴルフ株とアコーディアゴルフ株を両方持っていてそれぞれの株主優待券をもらってたことを覚えているので、パシフィックゴルフ株はどこかのタイミングでそれなりの利益を出して売却したと思います、多分。

アコーディアゴルフ(2131)/2016年11月

2012年11月16日にライバルのPGMホールディングス(パシフィックゴルフ)がアコーディアゴルフに対して敵対的TOBを発表しました。

この時はアコーディアゴルフが防衛に成功していますが、2016年11月29日になってMBKPリゾートが1株1,210円でのTOBを提案しました。前日の終値1,045円に対して15.8%のプレミアムでした。

自分は1,084円で購入した100株を保有しており、2016年11月30日に1,202円で売却しました。

ちなみに上場廃止前の最終株価(2017年03月22日)は1,208円となっています。

キタムラ(2719)/2018年05月

キタムラは「カメラのキタムラ」で有名な写真プリントの大手企業です。

2018年05月15日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が1株1,230円でTOBを提案しました。

前日終値が1,026円だったので19.9%のプレミアムですね。

個人的には2017年11月02日に740円で100株を購入しており、2018年05月18日に1,227円で売却しました。

さくら総合リート(3473)/2019年05月

さくら総合リートは2016年09月08日に上場した総合型のリート法人です。

2019年05月10日にスターアジア不動産投資法人(のスポンサー企業であるスターアジアグループ)がさくら総合リート投資法人に対して敵対的TOBを提案しました。

ホワイトナイトとして投資法人みらいが登場するなど紆余曲折がありましたが、結局、スターアジア不動産投資法人がさくら総合リート投資法人を吸収合併することとなり、2020年07月30日に上場廃止となりました。

私個人としては平均取得単価が80,1426円で12株を所有していましたが、最終取引日(2020年07月29日)の終値は78,200円なので少しの損失(売却していないので正しくは「含み損」)となりました。

チャートを見て分かるようにTOB発表後は株価が10,000円近くで安定していて含み益もあったのですが、2020年03月の新型コロナによる暴落が尾を引いてしまいました。

ユニゾ(3258)/2019年07月

ユニゾは好立地にホテルやオフィスビスを多数所有し、インバウンド需要や好景気によるオフィス需要を背景にTOB合戦となりました。

2019年07月10日に大手旅行代理店のHISがユニゾに対して1株3,100円でTOBを提案(前日の終値は1,990円なので55.8%のプレミアム)。

ホワイトナイトとして米国の投資会社であるフォートレス・インベストメント(ソフトバンクG傘下)が現れて1株4,000円。

そこに投資会社ブラックストーンが1株5,000円で参戦。

ユニゾが従業員による買収(EBO/Employee Buy-Out)の奇策に出て5,100円。

ブラックストーンが1株5,600円を提案したのでユニゾ5,700円。

さらにブラックストーンの1株6,000円の提案に対してユニゾも同額6,000円。

最終的にこの1株6,000円で決着しました(201%のプレミアム)。

私個人としては2,125円で100株を購入しており、2020年03月30日に5,960円で100株を売却しました。

なぜこのタイミングで売ったかというと、まだTOB合戦によって価格がさらに上昇する可能性もあったのですが、新型コロナによって先行きが見えないので「もしTOB撤回になると儲け損なうかも」と懸念したため利益確定をした次第です。

冷静に考えると少し弱気すぎたかもしれませんが、結果論としては大きな傷にはなりませんでした。

むしろ、ユニゾのTOBにおいて反省する点は「TOB合戦になる可能性」をあまり考慮できなかったということでしょうか。

HISのTOB提案の後でも「インバウンド需要やオフィス需要を満たす物件は少ないためにユニゾが保有する土地の価値はもっと高い」と分析する専門家も少なくありませんでした。

自分の経験則から「TOBされたら泡沫株主は終わり」と諦めていましたが、ユニゾのケースのようにTOB合戦で価格が切り上がっていくことも現実にあるんですね。

勉強になりました。

パルコ(8251)/2019年12月26日

2019年12月26日、Jフロントが1株1,850円(前日終値に対して約34%のプレミアム)でTOBすると発表しました。

単価898円で100株を保有していましたが、上場廃止前の2020年03月12日に1,845円で売却しました。

NTTドコモ(9437)/2020年09月

(下記の記事をご参照ください。)

2020年09月28日(月)の深夜に日本経済新聞がNTTによるNTTドコモ<9437.T>の株式公開買付(TOB)を報道し、翌日からストップ高となりました。 09月28日のNTTドコモの終値は2,774円で、TOB価格は3,9...

その他

ニッポン放送/2005年06月

TOB銘柄としてはニッポン放送株を持っていましたが、これは騒動が起きた後に株主総会に出席するために購入したものです。
会場の東京国際フォーラムでは体育会系の社員株主が前列を占める中で怒号が飛び交い、株主質問のときに「村上です…」と村上世彰さんが発言すると会場がどよめくなど良い経験をさせてもらいました。

委任状の争奪戦(プロキシーファイト)

公開買付(TOB)ではないのですが、委任状の争奪戦(プロキシーファイト)で世間の耳目を集めた銘柄の中で自分が保有していたのは、

  • 大塚家具(8186)/2015年
  • LIXIL(5938)/2019年
  • 駅探(3646)/2020年

の3件があります。

大塚家具については、大塚久美子社長と創業者の勝久会長との「父娘間の争い」でマスコミを賑わせました。

自分も株主総会に参加しましたが、マスコミで話題になったのが権利確定日の後だったので参加者は多くありませんでした(なので駅から会場に向かう間にマスコミ数社から声を掛けられました)。

記憶に残っているのは株主総会で初めて質問したこと(新聞で「株主F」として質問の要約が載っているのを見たときは笑いました)と、株主質問のマイクがたまたま私の席の真横だったので、大塚勝久会長の(株主としての)質問の声がやたら力強く「やっぱり創業者はパワフルだわ」と感心したことでしょうか。

また、駅探については、筆頭株主であるCEホールデイングスが役員の交代を求め、現役の役員が解任されるという結果となりニュースになりました。

自分も株主総会に参加しましたが、株主総会の時点では既に決着がついていることもあり、冒頭で(旧)社長が敗北を認めて淡々と議事が進行しました。

個人的な感想としては「会社は株主のもの。雇われ社長は無力」ということを再確認するとともに、頑張ってきた(旧)経営陣のその後を想うと一抹の寂しさを覚えました。

ちなみに将来のトラブル防止の目的で検察から立会人(?)が同席していたことについても新しい発見でした。