『ピーター・リンチの株の法則』(ピーター・リンチ著)

著者のピーター・リンチは伝説の「マゼラン・ファンド」運用マネージャー。個人的にはピーター・リンチの3冊目の読書になります。

著者のピーター・リンチは伝説の「マゼラン・ファンド」運用マネジャー。 以下、個人用の備忘録。 銘柄の分類(カテゴリ) 基本的に個別銘柄は下記の6カテゴリに属する。それぞれに特性がある。まず分類すること。 低成長株 鉄道、自動車...
著者のピーター・リンチはフィデリティ社の「マゼラン・ファンド」を運用した伝説のファンドマネージャーです。 ピーター・リンチが運用した1977年から1990年までの間、マゼラン・ファンドはS&P500をダブルスコアでアウトパフォームして...

以下、個人的なメモです。

債券よりも株式

1920年代から1980年代までの70年間を10年ずつに区切ると、株式は債券に対して5勝1負1分。株式リターンは債券のリターンよりも圧倒的に大きい。債券ではなく株式を購入すべき。

※株式はハイリスク・ハイリターン、債券はローリスク・ローリターンなので当然といえば当然。

ただし唯一の例外がある。長期国債の利回りがS&P500の配当利回りを6%以上上回ったら、株を売って債券を買うべき。

知らない会社には投資しない

自分が知っている会社の株式を買うべき。あまり理解していなくて簡潔に90秒で説明できない株は買ってはいけない。下調べをせずに株を買うのは危険だ。

自分が既に知っている企業や業界の株を買った方が良い(現場を余り調べない証券アナリストの話は余り参考にならない)。

株で一番損をするのはバランスシートがお粗末な企業に投資するときである。

株式市場から逃げ出さないこと

株式投資で利益を得る鍵は、怖じ気づいて逃げ出さないこと。成否を分けるのは知力ではなくて胆力である。

胆力のない人は、個別銘柄にも株式ファンドにも手を出さないほうがいい(損をする)。

株式の下落で不安になると個人投資家は株式投資を控える。しかし「バックミラーで未来は見えない」。1990年末は米国の不況と湾岸戦争で誰もが不安で株価は低迷していた。著名な証券アナリストを含めて誰もが来年(1991年)の株価は大きく下げると予想していた。しかし実際のところ1991年はS&P500は30%上がり、小型株は60%上昇した。

「次に相場が暴落したときは悪いニュースを無視してバーゲン価格で株を買おう」と言うのは簡単だが実際に株を買うのは難しい。怖じ気づいて株を買いそびれるのを防ぐには定期的に株を買うのが良い(投資信託の積み立てとか)。

信念

信念を貫くことによって暴落時でも動じずに株式市場に留まることができる(そして成功する)。

著者(リンチ)の信念は、たとえば「米国はずっと存続する」とか「株式は過去70年で平均すると年11%のリターンをもたらしてきた」という信念のこと。大局を見ることで不安は払拭される。

※「資産から得られる利益の期待値は年5%」(トマ・ピケティ『21世紀の資本』)も同様。

成功の鍵

20世紀には下落率が33%を超える暴落が13回あった。市場が悲観的になっているときでも、過去にも多くの暴落があった事実を思い出せば、優良企業のバーゲンセールだと気付く(相場の下落は必ずやってくる。備えあれば憂いなし。掘り出し物を手に入れる好機である)。

※暴落時のバーゲンセール。

短期的には企業の本質的価値と株価の間に相関関係が見られないことがある。しかし長期的には両者は100%相関する。株で儲ける鍵はこの不一致にある。成功する企業の株を購入して辛抱強く臨むこと。

※市況状況とは無関係。優良な割安株であれば我慢強く待てるはず(そういう根拠のある株を買うべき)。

魅力的だと思える銘柄が見つからないときは、見つかるまで待つ。資金は銀行にでも預けておく。

株式ファンドの購入

複数の株式ファンド(急成長株・割安株・優良株・小型成長株など)に分散投資すること。リバランスは追加投資の資金でおこなう(節税)。頻繁な乗り換えはしない(費用が発生)。

初期のマゼランファンド

資産規模が小さいので資金の遣り繰りが必要だった。基本的に「小型成長株+景気循環株」と「保守的な銘柄(優良株)」が保有/売買対象。

株価の下落局面では、値崩れしていない「保守的な銘柄(優良株)」を売却して、値崩れした「小型成長株+景気循環株」を購入する。株価の上昇局面では、評価益が大きくなった「小型成長株+景気循環株」の一部を売却して、あまり上昇していない「保守的な銘柄(優良株)」を購入する。

※値動きが大きくない「保守的な銘柄(優良株)」を安全弁として利用。基本は、株価が下落した時に「小型成長株+景気循環株」を買って、株価が上昇した時に「小型成長株+景気循環株」を売る(マーケットタイミングによる利益を狙う)。

資産規模が増加した後は、大型株の保有を抑えて中小株にシフトした。小型株は10%上限があるので銘柄数は100銘柄を超えた。

PER

大雑把に言って、PERはその企業の成長率以下であるべき。たとえばPER40倍の企業の売上高成長率が30%しかないなら株価は割高。

景気循環株は高PERの時が買い時でPERが下がってきたら(それは利益が増えているということだから)そろそろ天井かもしれない。他の銘柄とは異なるので注意。

その他

民営化の株式は買い推奨。

大穴の株は十中八九外れる。

人気業種の人気株は避けること。株価が着実かつ大きく上昇していくのは、不人気で成長が止まった業界の素晴らしい企業の株。

小型株は黒字になるのを見届けてから投資したほうがよい。

優良株は時間が味方になってくれる。辛抱強く待てるからだ。

読後感

本書は『ピーター・リンチの株で勝つ』の続編という位置づけです。『ピーター・リンチの株で勝つ』にはピーター・リンチ流の10バガー狙いの投資戦略が詳しく書かれています。

『ピーター・リンチの株で勝つ』を理論編だとすると、本書はマゼランファンドでの経験を中心にしてリンチの思考方法を追体験する応用編になります。

本書を読む前に『ピーター・リンチの株で勝つ』を読んでおくと、本書の行間を読むことができ、更に理解が深まるかと。

(了)