前回、倒産でもお金が戻ったケースとして、山一證券の廃業でも中国(ちゅうこく)ファンドが満額で戻ってきた話を書きました。
今回は、国内の不動産投資信託(リート)のケースです。
ニューシティレジデンス
ニューシティレジデンスは、以前、国内で上場していた不動産投資信託(リート)です。
平成20年(2008年)10月9日、国内のリートとして初めて倒産をしました。
REITアナリストの山崎成人さんによれば、
平成20年10月9日、ニューシティ・レジデンス投資法人から、突然、民事再生法申請及び受理の発表がありました。…
筆者の推測では、主たる原因は、ニューシティレジデンス池袋プレシャスタワーの売買契約ではないかと思われます。…
投資口価格が下落し増資環境が悪化した事で、増資という選択肢がなくなり、止むを得ず、一旦借入金で繋ぐ手法に転換したと考えられますが、今度は金融機関が融資を渋ります。…
解約には最低でも2割の違約金(約55億円)が必要になります。…
現体制では無理なので民事再生法申請という選択になったと考えられます。
ちなみに、池袋プレシャスタワーは、池袋西口に近く、芸術劇場、池袋警察や消防署がある一等地に建つマンションです。
投げ売って手仕舞い
ニューシティレジデンスが民事再生手続開始の申立てをしたとき、私は、1株あたり十数万円で数株を保有していました。
物件を購入したものの資金繰りが難しいみたいだ、という話が出回っていて、株価はジリジリ下がり、2008年10月09日の終値が71,000円。
そして、同日の取引終了後に(私の印象では)経営陣がいきなり試合放棄のような感じで民事再生となりました。
そのときは、1株7,000円程度で損切りをし、数十万円超の損失で手仕舞いとなりました。
その後、2008年10月15日に4,000円で底を打ってから、株価は反転し、最終売買日の2008年11月7日に終値14,200円で上場廃止となります。
やっぱり土地持ちは強い
後から判明するのですが、香港在住の投資家であるジョセフ・ブラウン氏などがニューシティレジデンス株を安値で大量に仕込み、株価が持ち直すきっかけとなりました。
私はといえば、同社の株式を投売りした後も興味があって色々と情報を収集していたのですが、不動産に詳しい数名の方が専門的な見地からニューシティレジデンスについてネットで積極的に発言しており、多少の相違はあるものの、異口同音に「株式会社と違って不動産をたくさん持っているから数万円ぐらいの価値はあるんじゃないの?」とおっしゃっていました。
それならば、と思い直して、1株1万円ぐらいで確か5株ほどを購入したのが2008年10月の後半だったと思います。
その後、2009年に、米国の投資ファンドであるローンスター社が1株35,000円で買い取るという再生計画案を提出したものの、債権者集会で「安すぎる」と否決されました。
結局、倒産から1年半ほど経った2010年4月1日に同業のビ・ライフ投資法人(現・大和ハウスリート投資法人)が株式交換によって吸収合併をしました。
同日の時価で計算をするとニューシティレジデンス1株は91,195円(=ビ・ライフ1株396,500円×交換比率0.23)で、倒産後に安く仕込んだ人にとっては、いわゆるテンバガー(大化けの10倍株)の株式になりました。
ちなみに、私宛に送られてきた書類はこのようなものでした。
ただし、私の収支としては、倒産時に投売りしたときのダメージが尾を引き、買い戻したときにも腰が引けて少ない株数だったので、ほぼプラマイゼロ(若干のプラス)の結果で終わっています(残念)。