投資の対象を「どのタイミングで買うか?」

日経平均株価の最高値は、1989年12月29日の38,915円です。

逆に、その後の最安値は、2009年03月10日の7,054円でした。

20年弱で5分の1以上の大暴落です。100万円を投資していたら20年間塩漬けした後に18万円強にしかなっていません。

いや、別に恐怖心を煽っている訳ではなくて、株価とは大きく変動するものだと当たり前のことを言いたいだけです。下がることもあれば、上がることもあります。

事実、この記事を書いている2018年06月26日の終値は22,342円なので、最安値からは3倍強となっています。

で、「どのタイミングで買うか」の前に、「どのタイミングで売るか」について投資業界でもっとも有名な逸話を例に引いてご説明したいと思います。

靴磨きの少年

1928年の米国ウォール街で、ある投資家が靴磨きの少年に靴を磨いてもらっていると、その少年が「旦那さん、絶対儲かる銘柄があるのでお教えしましょうか…」と話しかけてきました。この投資家は「これはヤバい」と思ってすべての株式を売却し、1929年の大暴落を避けることができました。ちなみに、この投資家は、第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディ氏の父親であるジョセフ・P・ケネディ氏でした。

ちょっと分かりにくいかもしれないので、少し補足をしますね。

ジョセフ・P・ケネディ氏が「ヤバい」と思った理由が大切です。

株式市場では株式を買いたい人(需要)と売りたい人(供給)で株価が決まります。もちろん、需要が大きければ価格はどんどん上昇します。

ジョセフ・P・ケネディ氏は靴磨きの少年が株式投資をしていることを知って、こう考えました。

つまり、「金持ちが株式投資をするのは当然だ。景気が良くなって中産階級の人たちが株式投資を始めるのも分かる。しかし靴磨きの少年のように経済的に下層の人たちが株式投資を始めたら、もうその下の人たちはいない。つまり、これ以上は需要は大きくならない。なので、今が株式の天井だ。みんなが冷静になってこの事実を受け止めたときに株価の大暴落が始まる」と。

事実、歴史はその通りに動きました。

雑誌やテレビなどの情報に煽られないこと

もしかして、雑誌やテレビなどの「株で儲けた人が続出!」みたいな情報に煽られて株式投資を始めようと思っている人はいませんか。

それって、普段の株式市場の状況というよりも「靴磨きの少年」の状況に近づいている感じですよね。煽られた人たちが株式を買って需要が大きくなり株価が上がっている状況です。

そのような状況は、プロは株式を高値で売り抜け、素人はババを掴まされて、大商いの相場が終わることになります。

株式ではありませんが、2017年の末から2018年の初頭にかけてのビットコイン価格がまさにそんな感じでしたよね。まだ最近のことなのでご記憶に残っていると思います。

テレビCMはもちろん、番組の中でも芸能人がビットコインによく言及していました。

テレビで流される情報は、鮮度が落ちた手垢にまみれた情報です。その情報があなたに届いているということは、同時に何百万人にも届いているということですね。テレビは需要の大量製造装置なので需給バランスが崩れて価格は上昇します。

ババを掴まないように気をつけましょう。

“1ドルのものを40セントで買う哲学を学んだ”

ウォーレン・バフェット氏は自分の経験を振り返って「1ドルのものを40セントで買う哲学を学んだ」と言っています。

つまり、欲しい株が今1ドルだとしても我慢をして待っていれば40セントで買えることがある、ということですね。

結論:暴落時に投げ売りで安くなったタイミングで買う

「今買わないともう買えない!」とか思っちゃうと、もう冷静な状況ではありません。

バブルの頃の郊外の不動産がそうだったみたいですね。バブルが崩壊した後、価格は数分の1まで下がりました。

どのタイミングで買うか — 私の答えは、バブルが弾けて投げ売りされて安くなったタイミングで買いましょう、ということです。

ちょっと玄人っぽい表現で言い換えると、「十分なセーフティマージンを持った株価」で買いましょう、という感じでしょうか。