投資戦略の「超まとめ」と売却のタイミング

ざくっと、ここまで書いてきたことをまとめてみましょう。

まず、投資の世界をどう観るか、とうことですね。

  • 投資でお金を増やしたいのはあなた1人ではない。多くの人が同じように考えている。
  • なので、投資は戦いである。戦国武将が領地を拡大したり、企業が事業を拡大するのと同じ。

そこで重要なのは「戦略」でした。

  • 戦いで最も重要なのは「戦略」である。その下に「戦術」や「戦技」がある。
  • 投資における戦略とは「何を・どのタイミングで・どれだけ買うか」ということ。

具体的には下記のとおりです。

  • 投資に値する資産は「株式・不動産・債券」。一般には株式が無難
  • 暴落時に投げ売りで安くなったタイミングで買う
  • 株価が暴落しても耐えられるだけの現金を用意しておく

資産は保有し続ける

ところで、買った資産はどのタイミングで売ればいいのでしょうか。

結論から言うと、買った資産を売却するための出口戦略はありません

資産は長く持てば持つほど利益を生むので、基本的にはそのまま保有し続けて、どうしてもお金が必要になったときに初めて現金化するのがいいかと。

現金化しても使い道がない

何となく漠然と「日本円で現金化して初めて利益確定」と考えがちですが、実際、それは正しいのでしょうか。

確かに私たちは日本国内に住んで生活をしていいて、利用する法定通貨は日本円です。しかも(おそらく他のどの国よりも)政府を信用しているし、通貨に対して絶大な信頼を寄せています。

なので、目の前に1万円札の札束が積み上がったり、あるいは預金通帳の残高を見て初めて「投資で儲かった」となるのは理解できます。

ただし、そのお金はそれからどうするのでしょうか。

そのまま放置していては金利も付きませんよね。少し眺めて儲けを実感したら、もう一度、投資に回すということになるでしょう。つまり、現金化しても使い道がないってことですよね。

現金化のコストは大きい

むしろ、資産を現金化するとマイナスの面が多々あります。

まず、売却手数料を取られますよね(そして買い戻すときには購入手数料も発生します)。

次に、利益に対して税金を取られます。含み益のままなら課税されないのに、利益確定のために現金化するだけで利益の20%強を失うことになります。

さらに、売却価格でも損をします。

たとえば、株式の板で「売り350円」「買い349円」だとしましょう。自ら売るアクションを起こせば、350円ではなくて349円で売らざるを得ないケースが多いでしょう(そして買い戻すときは350円になります)。

そもそも、現金化するために売却する銘柄を決めるロジックそのものも問題ですよね。情報の質と量で圧倒的に優位にあるプロの投資家に比べて、正しい判断ができているか疑問です。

情報操作の罠に掛かっている、とまでは言いませんが、下手に動けば動くほど損をする可能性が高くなります。株式を黙って保有している限りは個人投資家とプロの投資家は対等なので、必要もなく現金化することは避けるべきでしょう。

「靴磨きの少年」並みのバブルなら…

以前、株式投資の世界で一番有名な逸話として「靴磨きの少年」の話を書きました。

日経平均株価の最高値は、1989年12月29日の38,915円です。 逆に、その後の最安値は、2009年03月10日の7,054円でした。 20年弱で5分の1以上の大暴落です。100万円を投資していたら20年間塩漬けした後に18万円...

もし、ほぼ確実にバブルであって、いつ暴落してもおかしくないとお考えなら、その資産を保有し続ける必要はありません。

さっさと売却して現金化しましょう。

その後の暴落で”cash is king”(現金は正義)を実感できるかもしれません。

アセット・リバランスとアセット・リアロケーション

皆さんご存知のように、どの資産クラス(たとえば「国内株式」「米国リート」「新興国債券」など)にどれぐらいの割合で資金を配分するかを「アセット・アロケーション」と呼びます。

直訳すれば、そのまま「資産の配分」という意味ですね。

その計画どおりに資産を購入したとしても、年月が過ぎれば価格や為替の変動などによって当初のバランスが崩れることがあります。それを元の割合に戻すことを「アセット・リバランス」と呼びます。

直訳すれば、「リ」は「再び」という意味なので、「資産の再バランス」という感じでしょうか。

当初の計画(アセット・アロケーション)が正しいなら、年に1回程度はリバランスをした方がいいですよね。その際、追加の軍資金があれば、割合が減少している資産クラスを買い増せば済むのですが、追加の軍資金がなければ、割合が増加している資産クラスを売却して、そのお金で割合が減少している資産クラスを購入することになります。

したがって、アセット・リバランスのために必要最小限の売買をおこなうのは仕方ないということでしょうか。

ちなみに、「アセット・リアロケーション」という概念もあります。

直訳すれば、「リ」は「再び」なので、「資産の再配分」ということですね。

これは、当初の計画(アセット・アロケーション)そのものを見直すことを言います。たとえば、退職して年金生活になるのでリスクの大きい資産の割合を減らして安全運転でいく、みたいな感じでしょうか。

アセット・リバランスのときと同様に、アセット・リアロケーションのために必要最小限の売買をおこなうのは仕方ないと思います。

まとめ

資産は長く持つほど利益を生んでくれます。

なので、一度手に入れた資産はできるだけ長く保持し、どうしてもお金が必要になったときに初めて現金化するようにしましょう。

必要がないのに中途半端に現金化すると損をします。

ただし、バブル崩壊が近いと自信があるなら、現金化して避難しておくのもいいでしょう。

また、「アセット・リバランス」や「アセット・リアロケーション」のために一部の資産を売却して他の資産を購入するのは仕方がないことですね。